GOLDはまだ上がるのか?強気派と弱気派、それぞれの主張とは

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2026年、GOLD(金)は大きく値上がりした一方で、その後は高値から大きく調整する場面もありました。

2026年1月には一時1トロイオンス=5,594ドルという史上最高値を付けましたが、9月8日時点ではスポット金価格は4,385ドル前後まで下落しています。直近では米国の強い雇用統計や原油高によるインフレ懸念から、FRB(米連邦準備制度理事会)が再び利上げするとの観測が強まり、GOLDにとっては逆風となっています。

一方で、中央銀行によるGOLD購入は歴史的な高水準が続いており、Goldman Sachsをはじめ、

「GOLDの長期上昇はまだ終わっていない」

と考える専門家も少なくありません。

さらに、元Goldman Sachsの商品調査部門トップであるジェフ・カリー(Jeff Currie)氏は、一時GOLDをショートしていたにもかかわらず、2026年8月にはロングへ転換しています。

では、

GOLD強気派はいったい何を見ているのでしょうか。

そして、

GOLD弱気派はなぜ下落を警戒しているのでしょうか。

今回は2026年9月時点の主要な専門家・金融機関の最新見解を確認しながら、GOLDを取り巻く現在の状況について整理してみたいと思います。


GOLD強気派の意見

① ジェフ・カリー氏 「今はGOLDをロングする局面」

まず最も注目したいのが、元Goldman Sachs商品調査部門トップのJeff Currie(ジェフ・カリー)氏です。

カリー氏はGoldman Sachsで長年コモディティ市場を分析し、Global Head of Commodities Researchを務めた人物です。

2026年前半には一時的にGOLDへ弱気となり、ショートポジションを持っていました。

しかしその後、状況が変化しています。

2026年夏にはショートを解消し、

「私は個人的にGOLDのショートを外した」

さらに、

「現時点ではGOLDをロングする時だと思う」

と発言しています。

カリー氏の特徴は、単純に「GOLDはずっと上がる」と言っているわけではないことです。

むしろ、

短期では下落しても、長期ではかなり大きく上昇するという考えに近いです。

実際、2026年5月には、

「GOLDはいったん4,000ドルまで下落する可能性がある」

としながら、

長期では、10,000ドルという価格も視野に入れています。

カリー氏が強気になる根拠

カリー氏が重視しているのは、

通貨価値の希薄化です。

米国では、

  • 財政赤字
  • 政府債務
  • 国債発行増加
  • 利払い費増加

が続いています。

これが長期化すると、政府や中央銀行にとって、

インフレをある程度容認するあるいは金融緩和によって債務負担を軽減する

インセンティブが生まれます。

その結果、法定通貨の価値が相対的に低下し、GOLDが評価されやすくなる、

という考えです。

カリー氏にとってGOLDは、単なるコモディティというより、「法定通貨に対する代替資産」

に近い存在です。

つまり、GOLD価格が上がるというより、GOLDに対してドルの価値が下がるという考え方です。


② Goldman Sachs 「中央銀行買いによってGOLDはさらに上昇する」

Goldman Sachs Researchも現在GOLD強気派です。

同社は2026年末のGOLD価格について、4,900ドルを予想しています。

Goldman Sachsは、

「中央銀行による外貨準備の分散需要がGOLD価格を押し上げる」

としています。

また、Goldman Sachsでグローバル金属取引を担当するTony Kim氏も、現在のGOLD相場について、

「これは強気相場の終わりではない。長い休止期間だ」

と発言しています。

つまりGoldman Sachs内部でも、現在のGOLD価格の調整を、上昇相場の終了ではなく、強気相場の途中にある調整局面と見る意見が出ています。

Goldman Sachsが強気になる根拠

最大の根拠は、中央銀行買いです。世界の中央銀行は直近4年間、年平均約1,000トンのGOLDを購入しています。

これは、それ以前の10年間平均、約500トンのおよそ2倍です。

つまり、

中央銀行のGOLD需要そのものが構造的に変化した可能性があります。

特に新興国では、ドルや米国債への依存を減らし、

  • GOLD
  • ユーロ
  • その他通貨

へ外貨準備を分散する動きが進んでいます。

その中でもGOLDには、

  • 発行国がない
  • デフォルトがない
  • 国内保管できる
  • 他国政府の信用に依存しない

という特徴があります。

そのため、準備資産分散の受け皿としてGOLDが選ばれている

というのがGoldman Sachsの強気論です。


③ Citi 「現在の下落は買い場」

CitiもGOLDに強気です。

同社は、

0~3カ月で4,800ドル

6~12カ月で5,000ドル

という見通しを示しています。

そして最近のGOLD下落について、

「押し目買いの機会」

と評価しています。

Citiが強気になる根拠

Citiが重視しているのは、

  • 中央銀行買い
  • マクロ経済の不確実性
  • 財政リスク
  • GOLDのヘッジ需要

です。

一方でCitiは、

現在のGOLD上昇に対して一つ注意点も挙げています。

それが、現物需要の弱さです。

先物やETFなど金融市場側の需要が強い一方で、

宝飾品などの現物需要が追いついていない。

そのため、短期的な調整は起こり得るとしながらも、

中期的には上昇余地があると判断しています。


④ Bank of America Michael Hartnett氏「GOLDとコモディティをロング」

Bank of Americaの著名ストラテジスト、

Michael Hartnett氏もGOLD強気派です。

同氏は、

「コモディティとGOLDをロングし続ける」

という考えを示しています。

Hartnett氏が強気になる根拠

Hartnett氏が特に重視しているのは、米国の政策対応です。

財政赤字や国債金利上昇などによって金融市場が不安定化すると、

政府や中央銀行は、

  • 金融緩和
  • 財政出動
  • 市場介入

を行う可能性があります。こうした政策は最終的に、通貨価値の希薄化につながる可能性があります。

そのため、

株式や債券だけではなく、GOLDやコモディティなど実物資産を持つべきという考えです。


GOLD弱気派の意見

ここまで見るとGOLDはかなり強そうに見えます。

しかし弱気派にも非常に強い根拠があります。

弱気派が最も重視しているのは、主にFRBの金融政策です。

① HSBC 「2026年は3,800~4,700ドル」

HSBCは2026年7月、GOLD価格予想を引き下げました。

2026年平均価格予想を、4,864ドルから4,560ドルへ引き下げています。

さらに2026年のGOLD想定レンジを、3,800~4,700ドルとしています。

HSBCは、

「米国金融政策に対する認識変化と、それによるドルへの影響がGOLD売却の中心的な要因」

と分析しています。

HSBCが弱気になる根拠

最大の理由は、FRB利上げ

です。GOLDには利息がありません。

一方で米国債には利回りがあります。

そのため、

FRB利上げ

米国債利回り上昇

実質金利上昇

ドル高

GOLDの相対的魅力低下

となります。

さらにHSBCは、

  • 中央銀行購入鈍化
  • ETF流出
  • ドル高

もGOLDの下落材料として挙げています。

ただしHSBCも、米国の財政赤字や政府債務といった長期的なGOLD強気材料は残っているとしています。

つまり、短期弱気、長期中立~強気に近い立場です。

に近い立場です。

現在、市場は実際に利上げを織り込み始めている

ここで重要なのは、FRBの利上げが単なる「リスクシナリオ」ではなく、現在の市場が実際にある程度織り込み始めていることです。

CME FedWatch Toolを見ると、2026年9月16日のFOMCでは、

政策金利3.75~4.00%:60.5%

3.50~3.75%:39.5%

となっています。

つまり市場では、現在の政策金利から25bp(0.25%)の利上げとなる可能性が優勢になっています。

さらに先のFOMCを見ると、2026年12月には、

  • 3.75~4.00%:41.1%
  • 4.00~4.25%:37.2%
  • 4.25~4.50%:8.4%

となっており、年末にかけて追加利上げが行われる可能性も市場に織り込まれています。

つまり弱気派が警戒している、

「FRB利上げによってGOLDに下落圧力がかかる」

というシナリオは、現時点では決して極端な予想ではありません。


② JPMorgan 「短期リスクは下方向」

JPMorganも2026年前半から見方を大きく変えています。

6月時点では、年末6,000ドルという非常に強気な予想でした。

しかしその後

Q3 4,300ドル

Q4 4,500ドル

へ大幅に予想を引き下げました。

さらに、

「リスクは下方向に偏っている」

としています。

JPMorganが弱気になる根拠

JPMorganが警戒しているのは、GOLD需要の鈍化です。

具体的には、

  • 中央銀行
  • ETF
  • 現物需要

が想定ほど強くない可能性があります。

さらに、

米国経済が強ければ、FRB追加利上げが起こる可能性があります。

すると、実質金利とドルが上昇し、

GOLDには下落圧力がかかります。

ただしJPMorganも、

2027年以降については再びGOLD上昇を予想しています。

つまりこちらも、短期弱気長期強気です。


③ StoneX David Scutt氏「テクニカル面では下落リスク」

StoneXのDavid Scutt氏は、2026年9月時点でGOLDに、

ベア・ペナントが形成されている可能性を指摘しています。

これは一般的に、下落トレンド継続の可能性

を示すテクニカルパターンです。

Scutt氏が弱気になる根拠

現在は、ドル指数DXYとGOLDの逆相関がかなり強くなっています。

一時、-0.92

まで逆相関が強まりました。

つまり、

ドル↑

GOLD↓

という従来型の関係が非常に強くなっています。

そのため、

FRBのタカ派姿勢

ドル高

GOLD下落

というシナリオを警戒しています。


④ StoneX Matt Simpson氏 「FRBがタカ派なら高値からさらに下落する可能性」

同じStoneXのMatt Simpson氏も、FRBがタカ派姿勢を維持すれば、

「GOLDはサイクル高値からさらに下落する可能性がある」

としています。

Simpson氏が弱気になる根拠

こちらも中心は、

  • FRB
  • 米国債利回り
  • ドル

です。

ただしSimpson氏は、GOLDが十分下落すれば、長期強気派が再び買いに入る可能性

も指摘しています。

つまり、

GOLDそのものを否定しているというより、現在の価格水準

を警戒しているわけです。


強気派と弱気派は何が違うのか

ここまで見ると、GOLDについて強気派と弱気派の意見は真っ向から対立しているように見えます。

しかし実際には、見ている時間軸が大きく異なります。

強気派が主に見ているのは、

5年、10年といった中長期の構造変化です。

具体的には、

  • 中央銀行によるGOLD購入
  • 新興国の外貨準備分散
  • 米国の財政赤字
  • 政府債務の増加
  • ドルへの依存度低下
  • 地政学リスク
  • 通貨価値の希薄化

といったテーマです。

つまり強気派は、「今後、世界の中でGOLDという資産の重要性そのものが高まるのではないか」

という視点で見ています。

一方、弱気派が重視しているのは、

数週間から数カ月、長くても1年程度の短期的な価格変動要因です。

具体的には、

  • FRBの利上げ
  • 実質金利の上昇
  • ドル高
  • ETFからの資金流出
  • 投機ポジションの解消
  • テクニカルな弱さ

などです。

つまり弱気派は、「長期的にGOLDに価値があるとしても、今この価格からさらに上がれるのか」

を見ています。

この違いを整理すると、

強気派弱気派
見ている期間5年~10年以上
主な視点構造変化
注目するもの中央銀行、財政、脱ドル、地政学
主張GOLDの長期的な価値は高まる

という関係になります。

つまり、

「GOLDは長期的には上がる可能性が高いが、その途中で大きな調整が起こる」

という見方は、まったく矛盾していません。

実際、Jeff Currie氏のように、短期ではGOLDの下落を警戒しながら、長期では10,000ドルという強気シナリオを示す人物もいます。

そのため現在のGOLD市場は、

長期的には強気材料が多い一方で、短期的にはFRBや金利上昇が上値を抑えている

と考えるのが、一番分かりやすいと思います。


まとめ

2026年9月現在、

GOLDについて専門家の意見は分かれています。

しかし整理すると、強気派

  • 中央銀行買い
  • 準備資産分散
  • 米国財政
  • 通貨価値低下
  • 地政学

を重視しています。

一方、弱気派は

  • FRB利上げ
  • 実質金利
  • ドル高
  • ETF流出
  • 短期需給

を重視しています。

つまり現在のGOLD市場は、構造的には強気、循環的には弱気

という、二つの力がぶつかっている状況だと見ることができます。

だからこそ、

「GOLDは強気なのか弱気なのか」だけではなく、

誰が、どの時間軸で、何を根拠に話しているのかを見ることが重要です。

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