トランプ政権によるベネズエラ介入

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――地政学リスクと個人投資家が押さえておくべき構造変化


なぜ今、ベネズエラなのか

2026年1月3日、米軍はベネズエラの首都カラカスに対して軍事行動を実施し、
ニコラス・マドゥロ大統領夫妻を拘束した。

現職の国家元首が、他国の軍事力によって身柄を拘束されるという事態は極めて異例であり、国際社会に大きな衝撃を与えた。
米国はこの行動を「国家間の戦争」ではなく、「麻薬テロ容疑で起訴された人物を拘束するための法執行」であると説明している。

しかし、この出来事は単なる治安対策にとどまらない。
背景には、資源、安全保障、そして大国間競争が複雑に絡み合った、より大きな構造が存在している。

本記事では、ベネズエラ介入を一過性のニュースとしてではなく、
国際秩序と市場環境の変化を読み解くための一事例として整理し、個人投資家が押さえておくべき視点を整理する。


ベネズエラの前提条件と歴史的背景

資源国としての重要性

ベネズエラは、原油確認埋蔵量で世界最大級の資源国である。
推定約3,000億バレルという数字は、サウジアラビアをも上回る。

ただし、その原油の多くは「重油(ヘビークルード)」であり、
採掘・精製には高度な設備とコストを要する。

米国はシェール革命によって産油国となったものの、
国内の製油所の多くは依然として重油処理を前提に設計されており、
この構造的ミスマッチがベネズエラの地政学的重要性を高めている。


米国と協調していた時代(1920年代〜1970年代)

1920年代、米国企業の技術協力によりベネズエラの石油開発は急速に進展し、
同国は世界最大級の石油輸出国へと成長した。

1970年代には石油産業の国有化が行われたが、
この時点では米国企業に正当な補償が支払われ、
パートナーシップは比較的良好に維持されていた。

当時のベネズエラは南米随一の富裕国として知られ
現在の混乱した姿からは想像しにくい安定した国家であった。


反米路線への転換:ウゴ・チャベス政権

1999年に誕生したチャベス政権は、
反米・社会主義・資源ナショナリズムを掲げ、国家の方向性を大きく転換させた。

2007年には石油事業の利益配分を巡って米国企業と対立し、
大手石油企業の資産没収・国有化を実施。
これにより外資と技術が流出し、石油産業の競争力は徐々に低下していった。


国家機能の崩壊:マドゥロ政権

2013年、チャベス氏の死去に伴いマドゥロ氏が大統領に就任。
しかしその後、経済政策の失敗と汚職、外貨不足が深刻化する。

2014年以降、約800万人に及ぶ国民の国外流出が始まり
2018年にはインフレ率が100万%超となり通貨は事実上崩壊した。

さらに2020年、
ドナルド・トランプ政権(第1期)は、
マドゥロ氏を「麻薬テロ容疑」で起訴。
米国とベネズエラの対立は、外交問題から安全保障・法執行の問題へと格上げされた。


米国の戦略的意図

米国は今回の軍事行動を麻薬対策と説明しているが、
戦略的には複数の狙いが重なっていると考えられる。

第一に、重油の安定確保というエネルギー安全保障。
第二に、中国・ロシアの西半球での影響力排除。
第三に、モンロー主義2.0とも言える「勢力圏を明確にする外交姿勢」である。

これは国際協調よりも国益を優先する姿勢が、
より露骨に表面化してきたことを示している。


主要国への影響

中国:外交的屈辱と経済的リスク

中国にとって今回の事件は、短期的には明確な打撃であり、
同時に長期的には複雑な意味合いを持つ。

まず外交面では、「メンツ」を大きく損なう結果となった。
米軍の作戦開始のわずか数時間前、中国の外交団は
ニコラス・マドゥロ大統領と会談していたとされる。
その直後に拘束を許したことは、中国の情報収集能力や抑止力が
米国の行動を止められなかったことを国際社会に印象づけた。

経済面でも影響は大きい。
中国はベネズエラに対し約600億ドル規模の融資を行い、
石油輸出の約85%を受け取る形で資源確保を進めてきた。

今後、親米的な新政権が成立すれば、

  • 債務の減免・踏み倒し
  • 石油利権の再編
  • 契約条件の見直し

といったリスクに直面する可能性がある。

さらに、今回の介入は、
中国が近年実施してきたレアアースや銀などの輸出規制に対する
米国側からの「牽制」あるいは「報復」の一環と見る向きもある。

一方で、より長期的な視点では、
「力のある大国が勢力圏を管理する」というトランプ政権の考え方が、
中国にとって台湾問題などを正当化する論理的根拠として利用される可能性
をはらんでいる点も無視できない。


ロシア:資源競争と地政学的余地

ロシアにとっては、
経済的な不安要素と地政学的な機会が同時に存在する。

経済面では、石油市場での競争激化が懸念される。
ロシアもベネズエラと同様、「重油(ヘビー・クルード)」を主要輸出品としており、
米国主導でベネズエラの産油量が回復すれば、

  • 重油価格の下落
  • ロシアの外貨収入の減少

といった形で影響が及ぶ可能性がある。

一方、地政学的には必ずしも不利とは言えない。
米国が「西半球に専念し、それ以外の地域への関与を減らす」
いわゆるモンロー主義2.0を本格化させる場合、

  • 欧州情勢
  • ウクライナ問題

などにおける米国の関与が弱まる可能性がある。

これはロシアにとって、自国の勢力圏を維持・拡大する上で
相対的に有利な環境を生む可能性があり、
今回の動きをロシアが表立って非難していない背景とも考えられる。


日本:安全保障と外交の難しさ

日本にとって今回の事件は、
直接的な当事者ではないものの、無視できない影響を持つ。

最大の懸念は安全保障面である。
米国がモンロー主義的な姿勢を強め、西半球以外への関与を縮小する場合、
アジア太平洋地域における米軍の抑止力低下が意識されやすくなる。

特に、

  • 台湾有事の際に米国がどこまで関与するのか
  • 日米同盟の実効性が維持されるのか

といった点は、日本の安全保障に直結する問題である。

外交面でも、日本は難しい立場に置かれている。
政府はトランプ政権との関係を重視する一方、
国際法上の正当性が問われる軍事行動を全面的に支持すれば、
国際社会からの批判を招く恐れがある。

もっとも、経済面では長期的なプラス要因も考えられる。
ベネズエラ産石油が国際市場に安定供給されるようになれば、

  • 原油輸入コストの低下
  • ロシア産資源への依存度低下

といった形で、日本のエネルギー調達に一定のメリットをもたらす可能性がある。


個人投資家が意識すべきポイント

今回のベネズエラ介入は、短期的な値動き以上に、
世界の力関係と通貨秩序がどう変わりつつあるかを考える材料を与えている。
個人投資家にとって重要なのは、「今すぐ何を買うか」ではなく、
どの方向に資本の流れが向かいやすいかを把握しておくことである。

貴金属(金・銀)への分散

米国が「力(パワー)」による覇権行使を強めるほど、
世界的な脱ドル化の動きが進む可能性は高まる。

実際、各国の外貨準備において、

  • ドルの比率が徐々に低下
  • 金の保有比率が上昇

という傾向が確認されている。

歴史的にも、ドルが長期的な安値トレンドに入る局面では、
金(ゴールド)は相対的に強いパフォーマンスを示してきた。
金は特定の国家の信用に依存しない「ドルの代替資産」として機能しやすいためである。

なお、金と並んで語られることの多い銀(シルバー)については注意が必要だ。
銀は金と概ね同じ方向に動く傾向があるものの、

  • 価格変動(ボラティリティ)が非常に大きい
  • 証拠金引き上げなどを契機に急落しやすい

という特性を持つ。
そのため、特に初心者にとっては、
長期保有という観点では金の方が無難な選択肢と考えられる。


米国以外の株式への目配り

現在の市場は、
ドルの独歩高(長期的なドル高トレンド)が一巡し、
ドル安トレンドへ転換するかどうかの分岐点に近づいている
という見方もある。

仮にドル安局面に入った場合、歴史的には、

  • 米国株よりも
  • 米国を除く全世界株式

の方が相対的に高いパフォーマンスを示す傾向があった。

理由は複数ある。

  • ドル安によって、他国通貨建て資産の価値が相対的に上昇しやすい
  • 新興国にとっては、ドル建て債務の負担が軽減される
  • 結果として、企業活動や投資が活発化しやすくなる

こうした構造的な要因を踏まえると、
資産配分を考える際に「米国一極集中」になっていないかを
定期的に見直す視点は重要と言える。


5-3.地域・時間・資産クラスの分散

短地政学リスクが高まる局面では、
「一気に利益を狙う」姿勢は、かえってリスクを高めやすい。

重要なのは、

  • 地域(国・通貨)
  • 時間(分割投資・長期視点)
  • 資産クラス(株式以外も含める

を意識した分散である。

特に、短期間で大きなリターンを得ようとするのではなく、
時代の大きな流れを見極め、それに逆らわずに乗っていく
という姿勢が、長期的には安定した結果につながりやすい。

その文脈では、
金の保有比率を全体の10〜20%程度に抑えつつ組み込む、
といった考え方も一つの目安となり得る。


6.まとめ(結局、何を意識すればいいか)

力による秩序が前面に出るほど、通貨と資本の流れは変化する。
短期の値動きより、ドル・資源・勢力圏の構造変化を見ることが重要。
急がず、分散し、時代の流れに逆らわない姿勢が、最大のリスク管理となる。

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