連載:『投資で一番大切な20の教え ~賢い投資家になるための隠れた常識~』を深く読む
本記事では、ハワード・マークス氏の名著
『投資で一番大切な20の教え』を章ごとに読み解き、
私の長期・積立中心の投資スタイルと照らし合わせて、
実践的な行動指針に落とし込む内容をお届けしています。
今回のテーマは「待つ」こと。
焦らず、退屈に見える時間をどう過ごすかが投資家の器を決めます。
投資というと「行動すること」が成果に結びつくように感じます。
けれど、優れた投資家ほど「動かない時間」の重要性を知っているものです。
今回のテーマは、まさにこの“我慢強く待つ”という投資家の姿勢。
短期的な誘惑やノイズに惑わされず、
チャンスが訪れるその瞬間まで「待てる人」が勝者になる――
本章ではその理由と、待つ時間をどう活かすかを解説します。
書籍の解説:「待つ」ことの価値とは?

チャンスは毎日訪れるわけではない
マークス氏は言います。
「良い投資機会は頻繁に現れるものではない。
そのときが来るまで、静かに待つことが最善策となることも多い」
市場に常に居続けることは長期投資の大原則です。
しかし「行動し続けること」が成果に直結するとは限らず、
むしろ誤ったタイミングで動くと平均以下のリターンに終わるリスクがあります。
「待てる人」が市場の本当のプロ
投資の世界では、何もしないこと=機会損失と捉えがちですが、
一流の投資家たちは、「待つことも立派な戦略」として受け入れています。
- ウォーレン・バフェット
「チャンスが来るまでバットを振らない。それが投資で勝つ方法だ」
- ハワード・マークス
「我々の仕事は絶好の機会を見極めること。そのときまでは静かに待てばいい」
探偵パンダの実践:待つ時間を活かす3つの戦略

① 積立投資は“行動の自動化”で待てる自分を作る
私自身、メインはS&P500や全世界株インデックスなど幅広い銘柄へ分散し、
毎月コツコツと積立を行うこと。
この戦略の良いところは、待ち時間でも投資が進むこと。
つまり、普段はあえて何もせず、
「市場を眺めながら、自動で積立が進行している」状態を保つことで、
本当の好機まで“無駄な行動”をしないで済むのです。
② スポット買いは“本当に割安”なときだけに集中する
私自身は、スポット買いの判断に5%ルールを活用しています。
これは明確な買いの基準を作ることで、迷いや感情に流されずに済むためです。
ここで重要なのは──
市場の明確な「底」や「転換点」など、誰にも完璧にはわからないという現実です。

「今が底だ!」と断言できる自信はありません。
そのため自分の判断力に依存しないルール運用をしています。
一方で、市場の状況分析に長けた投資家や、
豊富な経験と独自の知見を持っている方は、
ルール化よりも裁量判断の方が精度が高くなる場合もあるでしょう。
つまり、5%ルールは私にとって非常に実用的であり、
ルール化することは多くの投資家にとっても有効な選択肢の一つだとは思いますが、
必ずしも万人に最適とは限りません。
それぞれが自分の性格や知識、経験に応じて、
「ルールで動くべきか」「裁量で判断できるか」を見極めることが大切だと思っています。
私は5%ルール(下落幅に応じた追加投資)を用いていますが、
このルールがあることで「焦って買う」ことを防げています。
③興味があれば「準備」もできる。でも、必須ではない
基本的に積立投資の魅力は、“知識がなくても継続できる”ことにあります。
毎月一定額を淡々と投資し続けるだけで、
時間分散の効果が得られ、高度な知識や相場分析は不要です。
そして、このスタイルのもう一つの利点は、
「投資のことに時間を割かなくてもよい」という自由さです。
つまり、待っている間に「何かしなければ」と焦る必要はまったくありません。
むしろ投資以外のことに時間を使えるというのが、積立の真の強みだと思います。
とはいえ、もし「もう少し深く知りたい」「準備しておきたい」と感じたなら、
次のようなことに取り組んでみるのもおすすめです:
投資が趣味化してきた方向けの“準備”例
- 気になる資産のウォッチリスト作成(例:次に買いたいETFや国別ファンド)
- 景気や市場サイクルの大まかな把握(例:失業率やVIXをざっくりチェック)
- 自分なりの「買い増し条件」のシミュレーション(例:PERが何倍以下なら検討、など)
これはあくまで“興味のある人がやる”ものであって、
やらなければいけない義務ではありません。
投資に時間をかけすぎないのも、長期戦で続けるための知恵だと思います。
まとめ
- 良い投資機会は頻繁には訪れない。焦って動くより“静かに待つ”が賢明
- 積立で基本戦略を自動化し、スポット投資はルールで制御する
- 待ち時間こそ、情報整理・準備・心構えを整えるチャンス
次回予告
次回は第10章「無知を知る」。
“自分が知らないことを知ること”――それは投資における最大の強みです。
過信せず、謙虚に学ぶ投資家こそが生き残れる理由を探ります。
※当ブログの内容は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。
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