~暴落が近づく今だからこそ知っておきたい“金(ゴールド)の力”~
株式市場は好調に見える一方で、世界は地政学リスク、インフレ、債務問題など多くの不確実性を抱えています。
そして今、多くの投資家が口を揃えて言うのが──
「暴落はいつ起きてもおかしくない」
という事実。
では、もし過去の暴落時に「金を一定割合」持っていたら、あなたの資産はどうなっていたのか?
そして今、AIバブルが進む中で、金はどんな役割を果たすのか?
本記事では、
1929年〜現在までの暴落期のデータ、金と株の100年比較 、 現代マクロ環境 、金の最適な保有比率など、徹底的に深掘りします。
1. 過去の暴落を振り返ろう

100年の歴史が示す「暴落と停滞の連続」
株式市場は100年間で何度も暴落と停滞を経験し、その度に回復してきました。
ここではその中でも特に象徴的な3つの暴落を取り上げます。
① 1929〜1954:世界恐慌──最悪の暴落と長期停滞
1929年10月、ブラック・チューズデーと呼ばれる歴史的暴落が発生。
S&P500はドル建てで −86% 下落し、回復まで 25年 を要しました。
背景にあったのは…
- 過剰な投機
- 企業の過剰生産と在庫過多
- 銀行の信用収縮
- 失業率25%の大不況
- 国際的な資本の連鎖的収縮
まさに“金融システム全体の崩壊”。
一方、金は当時「1オンス=20.67ドル」に固定。
1933〜1934年にルーズベルト政権が価格を 35ドルへ切り上げた(+69%)。
株が崩壊する中で、金は逆に価値を高めた時期でした。
② 1972〜1982:スタグフレーション──“株が10年上がらない時代”
1970年代は、戦後で最も株式投資家にとって厳しい時代でした。
- 高インフレ
- 低成長
- 失業率上昇
- 1971年の金本位制(ブレトンウッズ)終了
- 1973 & 1979年の石油ショック
S&P500は名目でわずか+17%の上昇でしたが、
インフレ調整すると 実質では−50% の下落。
一方で金は 35ドル → 800ドル(約23倍) に急騰。
株と金の“パフォーマンスの逆転”が最も顕著だった時代です。
③ 2000〜2012:ITバブル崩壊〜リーマンショック
1990年代のインターネット革命で膨らんだITバブルは2000年に崩壊。
さらに9.11テロ、リーマンショックなどが続き、
- 株価は長期停滞
- NASDAQはピークから80%下落
- S&P500は約12年戻らなかった
一方、金は…
- 250ドル → 1,900ドルへ上昇(約7.5倍)
この期間、S&P500は金に対して −89% 下落し、
「金が株を圧倒した時代」の典型例となりました。
2. 暴落期に金を保有していたらどうなったのか?

過去100年で確認される事実は非常に明確です。
株の暴落期 → 金が強い
- 大恐慌
- スタグフレーション
- ITバブル崩壊
- リーマンショック
どのケースでも共通するのは、

金は株式と“逆方向”に動き、資産価値を守った
- 1929〜1954
- 1968〜1980
- 2000〜2011
これらの期間、株が長期停滞する中で金は大幅に上昇しています。
株と金を併用すると、暴落時の損失が劇的に減る
たとえば:
株80%+金20% の場合
株だけ → −50%
株80+金20 → −20%前後
この“ドローダウンの差”は、
再投資スピードの差につながり、長期で巨大な差を生みます。
3. S&P500/金 比率が教えてくれる“100年の資産サイクル”

S&P500/金比率が教えてくれる、100年続く巨大な循環
ここまで見てきた1929年、1970年代、2000年代の3つの大暴落だけが金の出番ではありません。
S&P500と金のどちらが優位に立つかは、世界情勢や経済環境の変化によって大きく入れ替わることが、長期の比率チャートを見るとよく分かります。
その象徴が、上記グラフのような「S&P500/金(Gold)比率」の推移です。
この比率が下落する時…
→ S&P500が金より弱い(=金のほうが強い時期)
この比率が上昇する時…
→ S&P500が金より強い(=株式の黄金期)
100年の歴史が示す明確なルール
このサイクルは短期ではなく、10〜20年の巨大トレンド となって繰り返されてきました。
そのため、金は「暴落時に一瞬だけ役立つ資産」ではなく、
世界の構造変化を映す“長期サイクル”の主役のひとつ となっています。
過去100年を6つのフェーズに区分し、
「どの時代に株が金に勝ち、どの時代に金が株に勝ったのか」を時系列で整理します。
基本的に・・・
地政学的安定・低インフレ → 株が強い時代
地政学的に不安定・インフレ・様々な危機 → 金が強い時代
6つのフェーズ
① 1929–1942:大恐慌と世界大戦前夜──金が株を圧倒
- 1929〜33年:S&P500は ▲86%
- ルーズベルト政権が金価格を 23→35ドルへ切り上げ(+52%)
- 世界中でデフレ・戦争リスク・信用不安が拡大
- 株式は低迷する一方、金価格は上昇し購買力を維持
➡ この時代は完全に「金の時代」
株式市場が25年以上戻らなかった歴史的停滞期です。
② 1942–1968:戦後復興とアメリカ覇権の確立──株が圧倒的に強い
- 世界大戦終盤〜戦後復興、アメリカの高度成長期
- ブレトンウッズ体制のもと、金価格は 35ドルで固定
- 企業利益は拡大し続け、イノベーションと人口増加が株価を押し上げた
この間のS&P500は金に対して +1,165% の上昇。
➡ これは“史上最強レベルの株の黄金時代”
金は固定価格で動かないため、株がひたすら金をアウトパフォームした時代。
③ 1968–1980:インフレ・戦費・金本位制崩壊──金が株を“95%”崩壊させる
- ベトナム戦争と社会福祉政策による財政赤字
- 1971年:ニクソンショックで金本位制終了
- 1970年代:オイルショックでインフレ急加速
- 実質S&P500はほぼ半分に
対して金は 35ドル→800ドル(20倍以上)。
S&P500/金比率は 95%下落 し、株は金に対してほぼ消滅したのと同じ。
➡ 金の歴史上、最も輝いた12年間
④ 1980–2000:ボルカーの金融引き締めとアメリカ最強時代──株が再び圧勝
- FRBボルカー議長の金融引き締めでインフレ鎮静化
- 冷戦構造の安定化、規制緩和、技術革新
- 米国企業利益が急成長
この間、S&P500は金に対して +4,137% 上昇。
➡ 20世紀後半の圧倒的“株の勝利”
金は下落・停滞、株は最長クラスのブルマーケットへ。
⑤ 2000–2011:ITバブル崩壊〜戦争〜リーマン──金が株に“89%”勝利
- ITバブル崩壊:NASDAQ▲78%
- 9.11テロ
- イラク戦争
- リーマンショック
- 世界的に通貨供給が急増
この11年間、S&P500は 金に対して89%下落。
➡ 金が再び株を圧倒した「不安定の10年」
株はほぼ増えず、金は4倍以上へとなった
⑥ 2011–2021:低インフレ・巨大QE・テクノロジー革命──再び株が優位へ
- インフレが極端に低水準へ
- GAFA台頭
- 低金利・QEで金融環境が安定
- 2020年のコロナショック後は大規模財政+FRB4.9兆ドルQEで株急回復
結果、
- S&P500は金に対して +337%上昇
➡ 再び株優位の10年間
ただし、この優位性は2021年前後から陰りが見え始めています。
4. 現在の市場環境はどうか?
──株式と金、いまどちらにモメンタムがあるのか
S&P500は“マグニフィセント7”が牽引し強い上昇を見せています。
一方で金も史上最高値を更新ししています。
では、長期ではどちらが優位か?
結論から言うと…

短期:株 > 金
中期/長期:金 > 株 になる可能性が高い
- 2021年末〜2022年:S&P500は金に対して ▲28%下落
- 2023年は「マグニフィセント7」が株価を押し上げたが、
金に対しては依然として▲5%下
つまり
- S&P500の金に対する上昇モメンタムは失われつつある
- 100年の歴史で何度も起きた “株→金” の大転換点に近い可能性がある
背景として
- 世界的な債務問題(米国の財政赤字拡大)
- 地政学リスク(ウクライナ、台湾、中東)
- インフレが完全には沈静化していない
- 利上げ→景気後退→再緩和リスク
- 株式の高バリュエーション
- ハードアセット(資源・金)の相対優位の高まり
これらはすべて、「金が強くなる局面」に共通する歴史的パターンです。
5. AIバブルについて

「では今の市場ではどんなリスクが進行しているのか?」
歴史が示すように 株式市場の過熱は、必ず資産サイクルの転換点を生みます。
そしてその転換点で恩恵を受けるのが、
“金(ゴールド)”という資産 です。
金は単なる「安全資産」ではなく、
株式バブルの拡大と崩壊に強く反応するアセット です。
では現在の市場はどうか?
今世界の投資家が注目しているのは、
“AIバブル”がどの段階にあるのか という点です。
- 株価が期待先行で上昇している
- 実績が追いつかない企業が増えている
- NVIDIAを中心とした“循環構造”が形成されている
- 市場参加者のストーリー(Narrative)が加速している
これは歴史的に、バブル後期〜最終局面で見られるパターン。
AIバブルがどれほど危険な構造を内包しているのか
そして
その崩壊局面で金がなぜ力を取り戻すのか
を詳しく見ていきます。
① 市場の熱狂が価格を押し上げている
- NVIDIA、半導体、クラウド、AI関連ETF…
いずれも「業績以上のスピード」で株価が上昇している - メディアは連日のAI報道、投資家は“乗り遅れ恐怖(FOMO)”
→ 1950年代のNifty Fifty、1999年のITバブルとほぼ同じ心理構造。
② 利益が追いついていない
AI企業の多くは、
- GPU購入
- モデル開発
- 電力・データセンターコスト
に膨大な費用がかかり、利益化が非常に難しい。
OpenAI、Anthropic、xAI、Inflection…
どれも年間数千億〜1兆円級の資金を燃やしている。
→ 利益より“期待”が先行する典型的なバブル期の構図。
③ “循環取引”のような構造
NVIDIA → AI企業にGPU提供
AI企業は資金調達 → その資金で再びGPU購入
クラウド大手(MS、AWS、Google)はAI企業に投資 → AI企業は同じ企業のクラウドを利用
つまり、
AIが生む“実需要”ではなく、AI投資がAI市場を支えている状態
これは、2000年のインターネットバブルで起きた
「広告費を企業間で回し合う循環構造」 と非常に似ている。
6. バブル後に金が強くなる理由
| 時期 | 株式 | 金 |
|---|---|---|
| 1998〜2000 ITバブル | ↑↑ | ↓ |
| 2000〜2011 金の大相場 | ↓ | ↑↑ |
| 2020〜 AIバブル序盤 | ↑↑ | ↑(だが株優位) |
| 2024〜? バブル後期 | ? | ?(金優位に転換濃厚) |
5つの理由
① バブル後の流動性 → 通貨価値低下 → 金上昇
② 株式バリュエーションの修正
③ 中央銀行による金買いが歴史最高
④ 地政学リスクの長期化
⑤ 先進国の債務サイクルの最終局面
特に③と⑤は、1970年代と酷似しています。
7.今後の金価格──2030年に向けた現実的な価格予測

金の役割と歴史的背景を見てきましたが、
「ではこれから金価格はどこまで上がるのか?」
という点こそ、最も重要な部分です。
今回はIGWT Chartbook 2025もとに予測を見ていきます。
資料では、2030年12月の金価格について2つのシナリオが提示されています。
- ベースケース(2030年);4,821ドル
- インフレ加速シナリオ(2030年);8,926ドル
そして重要なのは、

現在の金価格は、既に「インフレシナリオ」の価格軌道を上回って推移している
という点です。
2025年の年初の金価格は約3,000ドル前後でしたが、
その後の急上昇によって わずか1年で約4,000ドル付近まで到達 しています。
これは 2030年の“ベースケース”価格帯にすでに接近しており、現在の上昇ピッチを踏まえると、
ベースケース突破は高確率で、
状況次第では インフレシナリオ側に寄る可能性も十分ある というのが総合的な見立てになるのではないでしょうか。
8. 実際にどれくらい金を保有すべきか?
「実際に、金はどれくらい持てばいいのか?」
金が優秀な防衛資産であることは歴史が証明しています。
しかし、比率を間違えると──
- 金を多くしすぎて株の成長を逃す
- 少なすぎて暴落時のヘッジ効果が弱い
- 投資フェーズに合わず資産効率が下がる
という“逆効果”にもなりかねません。
最適な金の保有比率は一つではなく、時代背景・資産額・投資スタイルによって大きく変わります。
かつては「金は5〜10%で十分」という考えが主流でしたが、
現在のようにインフレ・債務問題・地政学リスクが重なる時代では、
昔の常識は通用しなくなっています。
① 昔(1980〜2010年代):5〜10%で十分だった
- 低インフレ
- 米国一強
- 債務問題が軽微
- 中央銀行は金を売却
- 株・債券が上がり続けた
平和で安定した“特別な時代”だった。
② 現代(2020年代〜):10〜20%が新しい標準
- インフレ再加速
- 米中対立・ロシア・中東
- 国の債務爆増
- 中央銀行が“史上最大量”金を買い続ける
- 株と債券が同時安の時代
- AIバブル=高リスク高バリュエーション
マクロ環境は180度変わった。
③ 資産額(フェーズ別)の最適比率
| 資産額 | 金の推奨比率 | 理由 |
|---|---|---|
| 〜500万円 | 5〜10% | 成長重視、最低限の保険として |
| 500〜2000万円 | 10〜15% | 株+守りのバランスが必要 |
| 2000〜5000万円 | 15〜20% | 損失許容度が下がる時期 |
| 5000万〜1億 | 20〜25% | 守り |
まとめ:金は“暴落専用の保険”ではない
過去100年を振り返ると、金が強くなる局面には明確な共通点があります。
- インフレ
- 債務危機
- 地政学リスク
- 通貨価値の不安
- 株バブル後の調整
- 中央銀行の金買い
今は、これらが同時に進行している稀有な時代。
だからこそ、
金の10〜20%保有は、単なる守りではなく“戦略”になる。
株の強さを享受しながら、
バブル崩壊やインフレ、通貨リスクに備える“ポートフォリオを作っていくことが重要です。
2020年代〜2030年代を生き抜く人にとって、
金は間違いなく「必要な資産」の一つだと言えるのではないでしょうか。
毎月、実際の運用結果を報告する記事も公開しています。
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