『探偵パンダの相場推理ノート』#12

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『探偵パンダの相場推理ノート』とは?
市場の裏側に潜む“違和感”を出発点に、仮説と推理を交えて相場の本質に迫るシリーズ。
正解を語るのではなく、一緒に考える時間を大切にする読み物形式の記事です。


~経済:世界の行方を読む~

世界銀行が最新の経済見通しを公表した。

「70%の国が、成長予測を前回(1月)から下方修正……」

米国は成長率を1.4%に引き下げた。
ユーロ圏と日本も共に0.7%と、景気減速の色はますます濃くなっている。

一方で、中国は4.5%の見通しを据え置き、「政策余地がある」と評価されていた。
先行きは明暗入り混じる――まるで深い霧に包まれた迷路のようだ。


第1章:ハードランディングの足音

世界貿易は2024年に3.4%成長が見込まれていたが、2025年にはわずか1.8%へと鈍化。
企業は様子見に転じ、投資も控え始めている。

インフレは高止まりし、世界銀行は今後もしばらくインフレ率2.9%が続くと分析した。

「これはスタグフレーションの伏線か……」

報告書には、はっきりと“最悪のシナリオ”も描かれていた。
それは 「高インフレの持続と成長の停滞」 という、誰もが避けたい組み合わせだった。


第2章:霧の中にある一筋の光

だが、どんな霧の中にも一筋の光は差し込むものだ。

TSMCはAIチップ需要の急増を受け、5月の売上高が前年同月比で+40%の伸びを記録。
世界を覆う霧の中に、テクノロジーという光がわずかに煌めく。

そして6月、欧州中央銀行(ECB)は0.25%の利下げを実施。
停滞するユーロ圏経済に、わずかな追い風を吹かせた。

さらに、世界銀行自身がこう述べている。

「もし現在の関税が半減されれば、世界の成長率は+0.2ポイント押し上げられる可能性がある」

交渉次第では、霧の切れ間が広がる可能性も残されているのだ。


第3章:米国雇用――静かな張りつめ

景気のもう一つの鍵は、米国の雇用市場だ。

5月の非農業部門雇用者数は+13万9千人と市場予想をわずかに上回ったが、過去2か月分のデータは大幅に下方修正されている。

失業率は4.2%で横ばい。平均時給は前年比+3.9%と、依然として賃金インフレが根強く残っている

「堅調だが、疲れも見える。」

この微妙な温度感が、FRBが利下げに慎重になる理由なのだろう。


第4章:探偵パンダの戦略

金(ゴールド)という安全資産を、ポートフォリオの中に一定の割合で持ち続けること。インフレがしばらく続く見通しの中で、現金をただ抱えているだけでは購買力がじわじわと目減りしていきます。ドル建てETFや現物など、金に一部を避難させておくのは、今のような不透明な時代においてはごく合理的な判断といえるでしょう。

一方で、世界が停滞ムードにあるとはいえ、AIや半導体分野には明確な成長ストーリーが見られます。将来の芽を摘まずに拾い上げたいなら、SOXXやFANG+などのETFを通じて、少額ずつ積み立てていくのもひとつの選択肢です。高値づかみを避けつつ、構造的な成長の流れに乗るための手段としては悪くありません。

そして、関税リスクがどこまで広がるのか読めない状況が続く以上、地域的な分散投資も重要なテーマになってきます。欧州の金融緩和や中国の政策余地など、米国以外の市場が再び息を吹き返す可能性も否定はできません。特に、新NISA枠を活用して、日本・欧州・新興国といった複数の地域に分散しておくことは、将来の変化に備えるうえで有効だと感じています。

とはいえ、トランプ大統領の一言で大きく上下に振れるような相場に、無理して付き合う必要はありません。「今は動かない」という選択肢も、立派な戦略のひとつだと私は思います。

さらに、万が一の急落に備えて、一定のキャッシュポジションを確保しておくことも忘れずに。利益確定で得た資金の一部をプールしておき、「次に買うときの弾薬」として準備しておくのです。何もせずに待つのではなく、“動かずに備える”ことこそが、この不確実な時代における最大の対策なのかもしれません。


終章:今後の見通し

世界銀行は2027年までの平均成長率を2.5%と見積もり、「1960年代以来の低成長期」を暗示した。
さらに、関税の引き下げと透明な貿易ルールの整備こそが、世界経済の成長を押し上げるカギだと報告書は結んでいる。

関税を振りかざしても、長期的にはどの国にとっても得にならない。それは歴史が証明している。
トランプ大統領が早期に関税緩和へ舵を切ることを、私は願っている。だが、そうならなかった場合に備えた準備――資産配分の見直し、安全資産の確保、地域分散投資は、我々に残された行動可能な選択肢ではないでしょうか。

※この記事は、探偵パンダによる“ひとつの仮説”にすぎません。
正解は誰にもわかりません。一緒に「考える」時間を楽しんでいただければ嬉しいです。

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