2025 年 6 月は、中東情勢の急速な緊迫化で市場が一時乱高下しましたが、米国の仲介で停戦機運が高まり株価は急回復。S&P500(ドル建て)は再び最高値目前まで上昇しました。ただし関税交渉の行方やインフレ再燃リスクなど不確実性は残ったまま。油断は禁物です。それでは 6 月の運用状況を振り返ります。
◆ ポートフォリオ状況(2025 年 6 月末時点)

- S&P500 がドル建てで最高値目前。
- 円建てでは 144 円台の円高が逆風となり、過去最高評価額には届かず。
- 金は逆風ながら、長期ヘッジとしてウェート増を検討。
◆ 投資収益の所感

- 月次リターン(ポートフォリオ合計):+4.8 %
- 好調銘柄:ハイテク株(FANG+ +6.13 %)、新興国株
- 軟調銘柄:ゴールド(▲2.8 %)
ウクライナ紛争は市場に織り込み済みですが、中東リスクは残存。金が唯一マイナスだったものの、地政学ヘッジとしての重要度はむしろ再確認しました。
◆ FANG+の投資戦略と経過

指標 | 数値 |
---|---|
評価額 | 1,279,953 円 |
月間リターン | +6.13 % |
年間投資枠 | 50 万円(上限 250 万円) |
- 「5 % 下落ごとの買い増し」ルールを継続。
- ハイボラゆえに全世界株との併用を推奨。
◆ 市場の見通しと課題
1. 米国経済と FRB の動向
- インフレ鈍化:CPI +2.4 %/コア +2.8 %
- 雇用は減速気味:失業率 3 % 台後半、新規失業保険申請が増加傾向
- 政策金利据え置き:4.25–4.50 %、4 会合連続ステイ
- 利下げの鍵はデータと関税:トランプの圧力 ≠ FRB 判断
- 物価
- エネルギー・食品が下押し、住居費が粘る構図。
- インフレは緩やかに 2 % 台へ向かうも、コアは粘着質。
- 雇用
- 失業率は依然歴史的低水準。
- 求人数・採用ペースはピークアウト感。
- FRB スタンス
- 6 月 FOMC は金利据え置き。バランスシート縮小は継続。
- 「データ次第で柔軟に対応」としつつ、関税が利下げを遅らせる火種。
- 政治との綱引き
- トランプ大統領は利下げを強く要求。
- FRB は独立性を保ち、インフレ再加速リスクを最重視。
「インフレ鈍化 vs. 関税リスク」の綱引き。利下げは CPI と雇用統計がさらに軟化するまで“我慢比べ”が続く見通し。
日本経済(2025年6月時点)
- CPI(消費者物価指数)+3.5%(全国・前年比)
- コアCPIも+3.2%と高止まり
- 日銀は金融緩和継続:マイナス金利ともに維持
- GDPは2四半期連続マイナス成長
1. 物価上昇の現状
- 食品・エネルギーの高止まりに加え、住宅関連、外食なども継続上昇。
- お米の価格は前年同月比で+90%以上と、生活コストに直撃。
- 地方自治体の「米の無料配布」や「ガソリン補助金」も始まっている。
2. 金融政策
- 日銀は現状維持を決定(6月政策決定会合)
- YCC(長期金利操作)維持
- マイナス金利(−0.10%)も据え置き
- 緩和継続により為替は円安圧力も、今回は米利下げ観測とのせめぎ合い。
3. 景気の動向
- 実質GDP成長率は2四半期連続でマイナス(テクニカルリセッション)
- 個人消費の弱さと企業の設備投資減が主因。
- 政府は2026年度に向けた「所得税減税」と「エネルギー補助」の予算案を検討中。
まとめ:進まぬ利上げ、進む物価上昇
インフレ率はG7でも最高水準にも関わらず、日銀は利上げを躊躇。賃金上昇とのズレが家計を圧迫し、消費鈍化がさらに景気後退を加速させる「悪循環」に入りつつあります。
中東リスクと原油(2025年6月時点)
- ホルムズ海峡一時封鎖懸念 → 原油価格が100ドル突破
- 米・イスラエル vs イラン構図が再燃
- 月末にかけて停戦合意進展で原油は90ドル台へ反落
1. 戦闘激化と原油高
- イランがホルムズ海峡を一時制限。タンカー数隻が拿捕され、原油供給に不安が発生。
- ブレント原油は一時100ドルを突破。WTIも97ドル台まで急騰。
2. 市場の動き
- 防衛関連株や石油企業の株価が乱高下(レイセオン、エクソンなど)
- 金、原油ETF(USO/GLD)などに資金が一時避難。
- VIX指数も一時22超えと市場心理は緊張状態に。
3. 停戦の兆し
- 6月下旬、米国の仲介により停戦合意が近づく。
- 原油価格は月末にかけて90ドル台まで反落し、株式市場は急回復。
まとめ:地政学リスクは去らず
停戦報道で市場は安心感を取り戻しましたが、根本的な対立構造(核合意破棄・サウジの立場など)は解消されていません。地政学的“火種”は今後も断続的なリスク要因になります。
ゴールド相場(2025年6月時点)
- 年初来高値の3,500ドル目前で反落
- 月末時点で3,270ドル台まで調整
- 一時的な利確売りと中東リスク後退が要因
- 年初来で+25%超の上昇はキープ
1. 価格推移
- 6月前半は中東リスクの高まりで安全資産として買われ、一時3,480ドル台へ。
- しかし、利確と停戦報道で6月末には3,270ドルまで押し戻される。
- 円建て価格は為替の円高も相まってやや下落傾向。
2. 投資家の動き
- 個人・機関投資家ともに「高値圏で一部利確」ムード。
- 金ETF(GLDM)は買い一巡で保ち合い。
- 依然として、インフレヘッジ・安全資産としての役割は健在。
まとめ:金は調整局面でも“心の避難所”
短期的には利確売りが出ましたが、世界的な不透明感(米財政問題・中東・中国経済)を考えると、今後も“分散投資の一角”としての存在感は健在です。
為替(ドル円)
- 月初145円台 → 月末144円台前半へ下落
- 米利下げ観測+日本の緩和維持でレンジ相場
- 地政学リスク時に“安全通貨・円”買いが強まる傾向
1. 為替の動きと背景
- 6月前半は米金利の高止まりでドル高優勢も、FRBのハト派傾斜でドル売りへ。
- 同時に、日銀は緩和維持で円安要因も、戦争リスクが円買いにつながる場面も。
2. 今後の材料
- 7月のFOMCに向けて「利下げあるか」注目。
- トランプ関税政策でドルが買われる場面もあり得る。
- 日本の物価上昇が続けば「日銀の正常化議論」も再燃の兆し。
まとめ:円高トレンド再来?慎重な対応を
今後ドル円が再び円高に振れた場合、米国株の円建て評価が押し下げられる可能性も。為替ヘッジ付き商品や、日本株・ゴールドとの分散が鍵となります。
◆ トランプ政権の関税政策
- 「相互関税」停止期間は 7 月 9 日 で終了予定。
- 自動車 25 % 関税や農産品市場開放要求など依然強硬。
- GDP ▲0.5pt・企業倒産 +340 件との試算も。
- 中小サプライヤーは受注減を懸念し、生産移転や事業転換を模索。
個人的見解
- 関税は交渉カードにすべきでなく、最終的コストは米国消費者が負担。
- 米国製品が日本で売れにくいのは「ニーズ不一致」が主因。
- 日本は拙速な譲歩より、粘り強い交渉と品質競争力を重視すべき。
◆ まとめと 7 月以降のアクションプラン

対応策 | 内容 |
---|---|
株高対応 | S&P500 がさらに伸びればゴールドへ 5 % リバランス |
5 % ルール | FANG+が▲5 % で買い増し |
注目イベント | 7/9 関税期限・7/30 FOMC・7/20 参院選 |
地政学ショックでも市場は底堅さを示しましたが、インフレ・金利・関税と波乱要因は山積。7 月も「ルール厳守 × 機動力」を合言葉に、チャンスを逃さずリスクを抑えた運用を続けます。
※当ブログの内容は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。
免責事項についてはこちらをご覧ください → [免責事項]
コメント