― ユーラシア・グループの予測と現実、そして個人投資家としての判断 ―
2025年と2026年。
ユーラシア・グループが示した「世界10大リスク」を並べて読むと、
単なる年次予測の違い以上の“変化”が見えてきます。
それは、戦争や衝突といった出来事の話ではありません。
世界を支えてきた前提そのものが、変化しつつあるという事実です。
2025年の予測は「秩序が揺らぐ世界」を示しました。
そして2026年の予測は、「その秩序が戻らないこと」が前提となっています。
では、この変化はどこから来たのか。
ユーラシア・グループの予測は、どこまで現実と一致し、どこにズレがあったのか。
そして、こうした不確実な世界の中で、私たちは何を信じ、どう行動すべきなのか。
本記事では、2025年の予測と実際の出来事を照らし合わせながら、
2026年のリスクとなっている世界観の変化を整理し、
長期・積立・分散を軸に投資を続けていくためにまとめていきます。
2025年版「世界10大リスク」

2025年の世界を理解するうえで、
ユーラシア・グループ が示した「世界10大リスク」は非常に重要です。
今後の世界は、
- 大規模な戦争は拡大していないが、終結の見通しも立たない
- 米国や中国といった大国が、国際秩序より国内政治を優先
- 世界を主導する明確なリーダーが存在しない
という状態になっていくと予測しています。
ユーラシア・グループは、この状況を
「Gゼロ世界が事実上、完成した状態」
と捉えていました。
2025年 世界10大リスク
2025年に示された主なリスクは次の通り。
- 深まるGゼロ世界の混迷
世界秩序を主導する主体が存在せず、不安定が常態化する。 - トランプの支配(Rule of Don)
トランプ第2次政権が、制度より忠誠と取引を重視するリスク。 - 米中決裂
管理不能なデカップリングが、世界経済に混乱をもたらす可能性。 - トランプノミクス
関税・移民政策がインフレや成長鈍化を招くリスク。 - ならず者国家のままのロシア
ウクライナ戦争後も国際秩序を弱体化させる行動を継続。 - 追い詰められたイラン
地政学的影響力の低下が中東不安定化を招く可能性。 - 世界経済への負の押し付け
米中が自国の経済問題を他国へ転嫁。 - 制御不能なAI
技術進歩がガバナンスを上回るリスク。 - 統治なき領域の拡大
紛争地・サイバー・宇宙などで統治が及ばない空間の増加。 - 米国とメキシコの対立
移民・貿易問題を巡る関係悪化。
全体を通して見ると、
ほぼすべてのリスクが
「米国の内向き志向」と「秩序の空白」に結びついていました。
2025年の振り返り:予測と現実
2025年を実際に振り返ると、
ユーラシア・グループの予測は「当たった・外れた」で片付けられるものではありません。
方向性は正しかったが、展開は直線的ではなかった。
これが率直な評価です。
明確に現実化したリスク
Gゼロ世界の混迷

2025年を通じて、
- 各国が自国優先で動く(米国を筆頭に)
- 国際協調が機能しにくい
- 紛争や摩擦に対する即応力が低下
という状況ははっきりと確認された。
米国の内向き志向
トランプ第2次政権の発足後、
- 同盟軽視
- 取引ベースの外交
- 制度よりも政治判断を優先する姿勢
が目立つようになりました。
米国は「世界の警察」ではなく、
選別的に関与する取引主体へと性格を変えていったのではないでしょうか。
この変化は、単なる一時的な政権カラーの違いではなく、
米国の対外姿勢そのものが構造的に変わりつつあることを示しているように見えます。
従来の米国は、同盟国を守り、国際秩序を維持する「世界の警察」として、
必ずしも短期的な見返りがなくとも関与を続けてきました。
しかし第2次トランプ政権下では、その前提が揺らぎます。
関与の基準は、理念や長期的秩序ではなく、
「今、米国にとって得かどうか」へと移りました。
同盟関係であっても無条件ではなく、
コストとリターンが見合わなければ距離を置く。
この姿勢は、米国が世界から完全に引くというよりも、
関与の範囲と対象を大幅に絞り込む方向へ動いていると捉える方が実態に近いでしょう。

こうした米国の姿勢を象徴する概念が、
いわゆる「ドンロー主義(Donroe Doctrine)」です。
ドンロー主義とは、
19世紀のモンロー主義──「西半球は米国の勢力圏とする」という考え方を、
トランプ流に再解釈したものとされています。
その特徴は、
- 米国は西半球(南北アメリカ)を最優先の勢力圏と位置づける
- 欧州・中東・アジアへの関与は選別的・条件付き
- 同盟であっても、負担や見返りを厳しく精査する
という点にあります。
重要なのは、
これは「孤立主義」ではないということです。
世界に背を向けるのではなく、
自国にとって直接的な利益が見込める領域だけに強く関与する。
それ以外の地域では、秩序維持の役割を積極的に引き受けない。
ドンロー主義は、米国の内向き志向が
「関与の選別」へと変化した形だと言えます。
この変化は、米国の影響力が弱まったことを意味する一方で、
世界全体にとっては、
秩序を支える明確な担い手が不在になることも意味します。
部分的に現実化したリスク
米中関係
米中関係は確かに緊張しました。
ただし、対立が一気にエスカレートし続けたわけではありません。
- 強硬な発言の直後に調整が入る
- 市場が「どこまで本気なのか」を測れない
こうした状況が続きました。
結果として、市場にとっての
最大のリスクは対立そのものではなく、政策の予測可能性の低下でした。
米中関係は緊張と交渉を同時に継続し、貿易やサプライチェーンなどで対立を深めた。
※専門家の間でも、関税強化や報復の応酬が現実化した場合の経済リスクは強く意識されていました。
ロシア・ウクライナ戦争
戦争は終わらなかった。
この点では予測通りだ。
一方で、
- 停戦期待が何度も裏切られる
- 欧州の安全保障コストが固定化する
という形で、
「終わらない戦争」が前提条件として組み込まれました。
顕在化しなかった、あるいは限定的だったリスク
- AIによる決定的事故
- 米国とメキシコの深刻な対立
これらは2025年中の大事件にはならなかった。
ただし、
起きなかったからといって解消されたわけではないため、
先送りされたまま蓄積していると見る方が自然です。
2026年版「世界10大リスク」
2026年版のリスクリストは、
2025年とは明らかに性質が異なる。
焦点は、出来事ではなく、
制度と構造そのものでした。
2026年 世界10大リスク
- 米国の政治革命
- 「電気国家」中国
- ドンロー主義(トランプ版モンロー主義)
- 包囲される欧州
- ロシアの第二戦線
- 米国式国家資本主義
- 中国のデフレ
- ユーザーを食い尽くすAI
- USMCAのゾンビ化
- 水の武器化
2026年リスクの本質
最大の違いは、
米国そのものが最大の構造リスクとして扱われている点です。
これは「アメリカが崩壊する」という話ではありません。
- 法の支配
- 行政の中立性
- 統計や金融政策への信頼
こうした、
市場が暗黙に前提としてきた制度インフラが
揺らぎ始めているという警告です。
2025 → 2026 比較:分断から断片化へ

2025年のキーワードは「分断」だった。
2026年のキーワードは「断片化」です。
- 覇権国がいない
- 同盟が固定化しない
- 市場も制度も拠り所を失う
不安定は一時的な例外ではなく、常態になる。
投資家目線での示唆

ユーラシア・グループは、
「何を買え」とも「何を売れ」とも言っていない。
投げかけているのは、ただ一つ。
これまで当然としてきた前提は、本当に今後も成り立つのか。
これを踏まえて、どう行動するか

ここまで見てきたように、
2026年に向けた世界は、単発の危機に右往左往する局面ではなく、
不安定さそのものが前提条件になる世界へ移行しつつあります。
だからといって、
私は投資スタイルを大きく変えるつもりはありません。
私の基本姿勢は、これまでと同じです。
- 長期
- 積立
- 分散
この軸は、今後も揺らがないと思っています。
短期の変化では動かない
2025年から2026年にかけてのリスクを見ても、
1年、2年単位で「すべてが壊れる」ような話ではありません。
むしろ厄介なのは、
- 少しずつ前提が変わる
- 気づいたときには戻れない
- しかし日々の値動きは案外普通
という状態が続くことです。
だからこそ、
短期的なニュースや相場の上下で
ポジションを大きく動かすことはしません。
1年、2年の含み損で損切りすることもありません。
それは、私が想定しているリスクではないからです。
それでも「致命傷」は絶対に避ける
一方で、
取り返しのつかないリスクだけは、絶対に取らない
という意識は、以前よりも強くなっています。
今回の分析で改めて感じたのは、
- 国家
- 通貨
- 制度
といった、
これまで「安定している」と思われてきたもの自体が、
リスクの源泉になり得る時代に入っているという点です。
だから私は、
- 株式一本に賭ける
- 特定の国や通貨に過度に依存する
といった選択はしません
金(ゴールド)を持つ理由
私が金(ゴールド)を保有しているのは、
短期的な値上がりを狙っているからではありません。
現時点では、
まだ目標としている10〜15%の比率には達していません。
今後も段階的に購入を継続していくつもりです。
金は、
- 特定の国家や通貨に依存しない
- 誰かの負債ではない
- 制度や信用が揺らいだ局面で、相対的に価値を保ちやすい
という性質を持っています。
2026年のリスクが示しているのは、
急激な崩壊というよりも、
制度や通貨への信認が少しずつ削られていく世界です。
そうした環境では、
完璧な安全資産は存在しません。
だからこそ私は、
株式とは性質の異なる資産を、
時間をかけて組み込んでいくという選択をしています。
金は、そのための「保険」の一つです。
一気に比率を高めるつもりはありません。
相場環境や自分の資産状況を見ながら、
無理のないペースで積み上げていく。
それが、長期で投資を続けるために最も現実的だと考えています。
資本主義と株式は、今後も信じる
ここまでリスクを並べてきましたが、
私は資本主義が終わるとは思っていません。
むしろ、
- 不安定でも
- 歪みを抱えながらでも
資本主義経済は続き、
株価も長期では上昇していくと考えています。
だから、
株式投資をやめる理由はありません。
大切なのは、
「どんな世界でも続けられる形」にしておくことです。
情報との向き合い方を変える
世界情勢は今後も目まぐるしく変わります。
だからこそ私は、
- 表面的なニュース
- 刺激的な見出し
だけで判断しないよう、
意識的に距離を取るようにしています。
代わりに、
- なぜそうなったのか
- どの構造が動いたのか
- 一時的なのか、不可逆なのか
を考えることを大切にしています。
それが、
不確実な世界で投資を続けるための
最大のリスクヘッジだと思っているからです。
結局、私が選ぶ行動
私が選ぶ行動は、派手なものではありません。
- 積立をやめない
- 分散を崩さない
- 感情で売らない
- しかし、構造の変化からは目を逸らさない
焦らず、
効率も意識しながら、
ゆっくりお金持ちになる。
不安定な世界でも、
それでも資本主義を信じ続ける。
それが、今の私の結論です。
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