米国経済の今後の見通し
今回のFRBの利下げは、景気の減速や雇用市場の鈍化を背景とした「リスク管理的利下げ」と捉えるのが妥当ではないでしょうか。(もしかしたらもう遅いかもしれません)
株価が上昇している局面では通常利下げは行われず、むしろ引き締めが想定されるのが常ですが、FRB は短期の株高よりも 中期的な景気後退リスク を重視したと考えられます。
9月の労働市場を見ると、非農業部門の雇用者数はむしろ −32,000名 の減少という報告もあり(民間調査 ADP より)
雇用市場に相当な冷却感が出始めていることが示唆されています。
これを受けて、賃金成長も伸びが鈍化しており、雇用の“熱”は次第に翳りを見せつつあります。
物価面では、8月時点の PCE(個人消費支出物価指数)が前年比 +2.7 %、
除く食料・エネルギーを対象としたコアPCE が +2.9 %という数字が出ています。
コアPCE は高止まりを続けており、インフレ圧力が完全に収束したとは言えない状況です。
ただ、PCE・コアPCEともに伸び率がゆるやかな変動にとどまっており、インフレ基調のピーク通過観測を支持する見方も出始めています。
こうした背景を踏まえると、FRB は「インフレ抑制」と「雇用維持」の両立を目指し、予防的かつ限定的な利下げを選択したと主張しています。
あくまで本格的な緩和転換ではなく、過度な景気悪化を回避する“安全弁”のような措置と見るのが自然です。
市場はこの判断をおおむね好感し、S&P500 や NASDAQ を中心に株価は上昇しました。
しかし、株高局面での利下げというのは過去例が少なく、資産価格バブルの加速を懸念する声も根強くあります。
特にハイテク株(AI関連銘柄)への資金流入が強まっており、緩和がリスク資産に偏る傾向が顕著になってきています。
今後、最も注目すべきは FRB がどの水準で利下げを停止するか という点です。
過度な緩和はインフレ再燃を招き、逆に早めに締めにかかれば景気を冷やす可能性があります。
また、米国政府は国債の利払い負担が拡大しており、財政健全性も政策判断の制約要因となります。
金利を下げすぎればドル安が進み、海外投資家の米国債離れというリスクも出てきます。
今回の利下げを緩和転換の合図とはせず、ソフトランディングに向けた慎重な布石と位置づけたいと思います。
この局面では、「リスクを取りすぎない」「過度に悲観しない」ことを意識しながら、FRB の動きを冷静に追いたいと思います。
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