AAA脱落──“世界最強の借用書”に走ったヒビとは?
『探偵パンダの相場推理ノート』とは?
市場の裏側に潜む“違和感”を出発点に、仮説と推理を交えて相場の本質に迫るシリーズ。
正解を語るのではなく、一緒に考える時間を大切にする読み物形式の記事です。
■静かに崩れた“絶対の信頼”
「米国債が格下げされたらしいよ」
そんなニュースを聞いても、多くの人はピンと来ないかもしれません。
でもこれ、静かに地殻がズレたような話なんです。
2025年5月、ムーディーズが米国債の格付けを“AAA”から“Aa1”に引き下げました。
これは「世界最強の借用書」に初めて正式な“ヒビ”が入ったことを意味します。
とはいえ市場はまだ静か。でも、その静けさこそ逆に不気味です。
■ これは単なる記号の変更ではない
今回の格下げは、単なるアルファベットの違いではありません。
この格下げは、米国の財政と政治の持続可能性に対する“警告灯”です。
私たちは今、大きな分岐点にいるのかもしれません。
その兆候が「格付け」というかたちで可視化されたのです。
■ “米国債の信用”に何が起きているのか?
① なぜ格下げされたのか?
ムーディーズは明言しています。
「米国が持つ経済面・金融面での強みは認識しているものの、
これらの強みだけでは財政指標の悪化をもはや完全に相殺できないと考えている」
言い換えると「債務は増えすぎているし、金利も上がり続けているけどどうするの?」
- 米国の政府債務はGDP比で124%(2025年時点)
- 今後10年で金利支払いが倍増し、歳出の多くを圧迫
- 政治は混乱し、つなぎ予算や減税延長ばかりが続く
つまり、「返せるとは思うけど、前ほど安心じゃない」ということです。
② 市場の反応は?
格下げ直後、米10年債の利回りは一時4.49%まで上昇しました。
S&P500 ETFも一瞬ヒヤッとしたように下落。
でも、その後の反発を見ると──
市場は「それでも米国が一番マシだろう」という感じで、大きな動きは見られなかった。
③ 過去との違いは?
2011年、S&Pが米国債を格下げしたとき。
一瞬混乱したあと、むしろ“安全資産”として買われました。
今回も似た流れになるかもしれません。
でも、あの頃と違うのは「利払い負担の重さ」です。
今は“無視できる金利”じゃなくなってきているんです。
■ 探偵パンダの視点──米国は、もはや「無敵」ではない
私としては、
この格下げは「いつかは起きたこと」だと受け止めています。
レイ・ダリオ氏がずっと言っていたこと──
「債務が膨らみすぎれば、いずれ通貨と国家の信認が失われる」
まさにその序章です。
もちろん、今すぐ米国が沈むわけではありません。
でも私は以下のように考え、行動します:
- 米国資産比率を50%→40%前後へ段階的に調整
- ドル以外の資産(円、金、新興国など)を再検討
- 債券ETF(AGGなど)の導入タイミングを定期的にチェック
投資をやめるわけじゃない。
でも、“全信頼”は置かない。これが今の私のスタンスです。
■ まとめ──警告灯がともった今、どう動く?
米国債の格下げは、ただの象徴ではありません。
それは「かつての絶対的信頼」が少しずつ崩れ始めたサインです。
市場は今、静かにその現実と向き合い始めています。
だからこそ私たちも、ポートフォリオを見直してみましょう。
「あなたの投資、1つの国に寄りすぎていませんか?」
※この記事は、探偵パンダによる“ひとつの考え、仮説”にすぎません。
正解は誰にもわかりません。一緒に「考える」時間を楽しんでいただければ嬉しいです。
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