連載:『インデックス投資は勝者のゲーム』を読み解く
本連載では、ジョン・C・ボーグル氏の名著『インデックス投資は勝者のゲーム』を章ごとにわかりやすく解説しつつ、筆者・探偵パンダの投資方針にどう活かすかを考察していきます。
ETFやスマートベータ戦略が次々に登場する現代。
しかしボーグル氏は「市場に勝つには、むしろ伝統的なインデックスファンドが一番確実だ」
と主張します。一見逆説的なこの言葉の真意を、今回の第16章から読み解いていきましょう。
書籍解説|スマートな戦略より、“普通”が勝つ?

第16章のタイトルは「インデックスファンドが市場に勝つことを保障する」。
市場に投資するのにどうやって市場に勝つの?と思いがちですが、
ここで言う“市場に勝つ”とは、他の投資家、特にアクティブファンドとの比較においてです。
近年は「スマートベータETF」や「戦略的インデックスファンド」など、
ちょっと凝った設計のETFが人気です。
高配当株やクオリティ株など、一定のファクター(要因)をもとに銘柄を選別し、
“市場平均以上”を狙うこれらの商品。
しかしボーグル氏は、「それってもうアクティブファンドと変わらないのでは?」と疑問を呈します。
その理由は2つ。
- 銘柄選定に人為的なルールが入る時点で“完全な受け身”ではなくなっている
- 運用コストが高くなりやすく、市場平均に勝ち続けるのは極めて困難
つまり、こうした商品はインデックスの皮をかぶったアクティブというわけです。
探偵パンダの実践|平均でいい。むしろ平均がいい

探偵パンダの実践:王道インデックス+FANG+で“守りと攻め”のバランスを取る
私は、資産形成のコア(核)としてS&P500の伝統的インデックスファンドを中心に据えています。
これは時価総額加重型で、信託報酬も極めて低く、
ボーグル氏が提唱する「シンプルで低コストな投資」の体現とも言える存在です。
そのうえで筆者は、サテライト(補完・攻めの部分)としてFANG+にも投資しています。
FANG+は「スマートベータ型」であり、かつGAFAMや、NVIDIAといったテクノロジー特化型のテーマ型ETFでもあります。
つまり、時価総額比率ではなく等ウェイトで構成された、成長株集中の高リスクファンドです。
確かにFANG+は、短期的には大きくブレる可能性があります。
2022年のような局面ではS&P500以上の下落率を記録することもありました。しかし、筆者はこれをポートフォリオのサテライトとして位置づけており、投機ではなく戦略的に組み込んでいます。
このように「コア=市場平均で堅実に、サテライト=成長銘柄でリターンの可能性を広げる」
というスタイルが、自分にとっての心地よいバランスになっています。
本章のメッセージは「過度な期待や小細工に走らず、王道を貫くことの強さ」にありますが、
私にとってFANG+は王道を損なわない範囲での“選択的リスク”です。
もちろん、今後もFANG+のようなファンドに投資し続けるかは、パフォーマンスや経済構造の変化を見ながら検討しますが、少なくとも「コアをぶらさずにサテライトで工夫する」という方針は変わらないつもりです。
初心者へのアドバイス|「市場に勝つ」の本当の意味
スマートな戦略や新しいETFは、魅力的に見えます。しかし初心者ほど、王道のインデックスファンド一本でじっくり投資を続けることが最も効率的です。
特に大事なポイントは以下の5つ:
- 流行に飛びつかない
「今これが熱い」といった情報に振り回されず、実績ある指数を使うことが大切。 - ポートフォリオの核は王道指数で
S&P500、全世界株式(ACWIやFTSE Global All Cap)など、広く分散された王道を中心に。 - 複雑な商品=高コストの罠に注意
スマートベータETFなどは魅力的に見えても、信託報酬が高く、期待リターンが報われないケースが多いです。 - 「もっと良いものがあるはず」という幻想を捨てる
平均回帰(mean reversion)の原則を思い出しましょう。結局は市場平均に収れんします。 - どうしても興味があるなら“サテライト”で
気になる新商品は、ポートフォリオ全体の5~10%以下にとどめ、主軸にはしないこと。
まとめ|王道こそが最大の近道
第16章のメッセージは、「一番地味な方法こそが、一番確実に勝者になる道」というシンプルかつ力強いものです。
ETF、スマートベータ、テーマ型、いろんな選択肢が溢れていますが、最終的にリターンを決めるのは、「続けられる戦略」かどうか。
そしてそれは、複雑な投資ではなく、シンプルで低コストなインデックスファンドであることが多いのです。
あなたがもし、「何に投資すればいいか迷っている」のなら、まずはS&P500や全世界株式のような王道を選びましょう。それだけで、ほとんどの“平均以下の戦略”には勝てるはずです。
※当ブログの内容は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。
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