アメリカが衰退する時、S&P500はどうなるのか?──企業と国家の信頼関係を推理する
「S&P500に投資しておけば間違いない」──
多くの投資家がそう信じている。
バフェット氏も、ボーグル氏も、そして過去のデータも、それを後押ししてきた。
だが、私はふと思う。

もしアメリカが、今後ゆっくりと衰退していったら?
その時、S&P500は本当に、今まで通り機能し続けるのだろうか?
多国籍化するS&P500企業
確かに、S&P500企業の多くはグローバル展開している。
- Apple:海外売上比率 約65%
- Microsoft:海外売上比率 約50%
- Coca-Cola:海外売上比率 約70%
つまり、“アメリカ企業”とはいえ、そのビジネスの多くは世界中に広がっている。
これが、よく言われる「アメリカが多少傾いても、S&P500は大丈夫」という理屈だ。
だが──。
ドル支配と国家リスク
海外売上が多いとはいえ、 その取引の多くはドル建てだ。
価格設定、契約通貨、決済通貨──すべてがドルを基軸に動いている。
もし、ドルの信認が揺らいだら? もし、米国の国際的影響力が低下したら?
世界は今まで通り、アメリカ企業を信じ続けてくれるだろうか?
国家ブランドと企業イメージ
ここで思い浮かぶのは、中国企業の例だ。
- 中国製品には粗悪品イメージが根強い
- たとえ良い製品でも、中国という国への警戒心が拭えない
これは「国家の信用」が「企業ブランド」に影を落とす典型例だ。
アメリカも、今後もし覇権を失い、国際的な信用を落とせば、 いくらAppleやGoogleが優れた企業であっても、 「米国企業」というだけで選ばれにくくなる未来が、あり得るのではないか?
M7は生き残る、だが新興企業は厳しい
現時点でのトップ企業──M7(Microsoft, Apple, Alphabet, Amazon, Meta, Nvidia, Tesla)は、 すでに築いたブランドと世界展開の基盤がある。
だから短中期では、S&P500全体の競争力も維持されるだろう。
しかし、これから新たに生まれてくる企業たちはどうか?
- 国の信用が弱まれば、資金調達コストが上がる
- 海外展開で規制やを受けるリスクが高まる
- 国際ブランドとして育つのが難しくなる
つまり、成長力の鈍化が徐々に効いてくる可能性があるのだ。
探偵パンダの仮説──未来のS&P500は”変質”するかもしれない
私はこう予想する。

「S&P500は、完全に崩壊することはない。
しかし、これまでのような“絶対的な安心資産”ではなくなるかもしれない。」
- 短中期は粘る(M7の力と既存の信用)
- 超長期では成長力が低下し、リターンも相対的に鈍る可能性
それでも、S&P500は依然として長期資産として有力だと私は思う。 ただし、従来のような高リターンを過度に期待するのではなく、 今後は控えめな成長率を見込みつつ、他地域や他資産への分散を強化するべきだろう。
分散──それも、地域・資産クラス・通貨にわたる真の分散。 これが、未来を生き抜くための新たな常識になるかもしれない。
※この記事は、探偵パンダによる“ひとつの仮説”にすぎません。
投資の正解は誰にもわかりません。一緒に「考える」時間を楽しんでいただければ嬉しいです。
コメント