投資初心者が見落としがちな“目に見えないコスト”
「為替リスクって気にした方がいいの?」「信託報酬って何が違うの?」
投資を始めたばかりの人がつまずきやすいのが、この2つの“見えにくいコスト”です。
私自身、金ETFを通じてこの選択に直面しました。
特に長期投資を前提にした場合、どちらのコストを優先的に考えるべきか。
この記事では、実体験をもとにその答えを探っていきます。
長期投資でも為替リスクは無視できない

資産によって為替リスクの影響度は変わる
長期投資であっても、「為替リスクは完全に無視してよい」というわけではありません。
ただし、どの資産に投資するかによって、為替リスクをどの程度重視すべきか=**“気にする濃淡”**は変わります。
特に「為替リスク vs 信託報酬」という比較では、まず注目すべきは為替ヘッジコストの重さです。
見えない為替ヘッジコストのインパクト

年3〜4%もの隠れコストに注意
為替ヘッジをかけるにはコストがかかります。その水準は一見見えにくいですが、実は年3〜4%に達することもある大きなコストです。
このヘッジコストは、
「米ドル短期金利 − 円短期金利 ± クロスカレンシー・ベーシス」 によって決まる変動性のあるもので、日々変化します。
たとえば2025年5月時点では米金利が高く、日本は低金利のため、**ヘッジコストは約3〜4%**とかなり高めです。
将来的に米金利が下がったり、日本の利上げがあれば縮小する可能性もあります。
一方、日本の投資信託にかかる信託報酬は一般的に0.5〜0.9%程度で、ゴールドファンドや海外REIT、アクティブ型ファンドに多く見られます。
対照的に、低コスト型のインデックスファンド(例:eMAXIS Slim 全世界株式)は0.1〜0.3%、
テーマ型や毎月分配型では1%超のものも存在します。
私の実体験:為替ヘッジ付き vs ノンヘッジETF
選んだのはノンヘッジETF、その理由とは
私が金投資を始めるにあたって迷ったのは、以下の2つの選択肢でした:
- 日本国内の金ファンド(為替ヘッジ付き、信託報酬:0.7%)
- 米国上場の金ETF(ノンヘッジ、経費率:0.1%)
最終的に選んだのは後者。
理由は、目に見える信託報酬よりも、目に見えない為替ヘッジコストの方が長期的に重くのしかかると判断したからです。
さらに金は、“通貨の代替”という特性を持つ資産であり、円安時にはドル建て価格に加えて、円換算の価格も上がりやすい傾向があります。
ただし逆に、円高局面ではドル建てで金価格が上昇していても、円建てでは価格が伸び悩むこともあるため、短期的には為替が逆風となるケースも頭に入れておく必要があります。
結論:資産ごとに為替リスクの“濃淡”を調整しよう
金や株はノンヘッジ+低コストが合理的
リターンの大きい資産、たとえば金や株に関しては、多少の為替リスクを受け入れてでも、ヘッジコストを回避し低コストを優先する選択が合理的です。
長期保有を前提とすれば、コスト差は大きなリターン差につながります。
債券や短期資金はヘッジ付きも選択肢
一方で、債券のような低リターン資産や、近い将来に使う予定の資金については、安定性を重視し為替ヘッジをかけることが理にかなっています。
たとえば「楽天・全世界債券(為替ヘッジあり)〈信託報酬0.18%〉」のように、
期待リターンが年2%程度でも、為替変動を排除する方がリスク効率が良いという判断もあります。
探偵パンダのひとことアドバイス

「見えるコスト(信託報酬)」にだけ気を取られていると、
「見えないコスト(為替ヘッジ)」がパフォーマンスを蝕む可能性があります。
大切なのは、“為替リスクを完全に無視する”のではなく、資産ごとにバランスよく取り扱うこと。
それが、私が金ETFを通じてたどり着いた一つの答えです。
※当ブログの内容は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。
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