ブラックロック「2025年中間グローバル・アウトルック」を読み解く

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短期・長期目線での投資先の最適解は?

世界最大の資産運用会社・ブラックロックが、2025年中間のグローバル経済と市場見通しをまとめた報告書を公開しました。

今回のレポートでは、AIやエネルギー転換、地政学リスクなどの「メガフォース(構造変化)」が、長年にわたって投資環境を支えてきたマクロ経済の“アンカー(錨)”を揺るがしていると指摘。短期・長期の時間軸を分けて、柔軟な投資判断が必要であることを訴えています。

本記事ではこの報告書の重要ポイントを抜粋しながら、個人投資家としてどう行動すべきかを探っていきます。

この記事で伝えたい重要ポイント
  • かつての安定的なマクロ環境(低インフレ・財政規律・安全資産としての米国)は崩れつつある。
  • 短期(6〜12か月)では米国株と日本株を中心とした“戦術的リスク選好”が有効。
  • 長期(5年以上)はAI・インフラ・エネルギー転換といった「メガフォース」への着目が鍵となる。

1. 長期的な「マクロのアンカー」の喪失

パンデミック前までは、「インフレ期待は2%で安定」「中央銀行の信頼性」「米国国債=安全資産」といった“マクロのアンカー”が投資判断の前提でした。しかしブラックロックは、こうした安定の柱が今や揺らいでいると指摘しています。

主な変化は以下のとおりです:

  • インフレ期待が2%に固定されなくなった
  • 財政規律の希薄化と長期赤字の定着
  • タームプレミアム(米長期金利の補償要求)の上昇
  • 中央銀行や米ドルの信認低下

これにより、「広く分散しておけば安定」という時代が終わりを迎え、投資家はより能動的な判断を求められるようになったのです。

“アンカー”とは要するに“安定の基準”のこと。これがなくなると、投資家は“自分で舵を取る”必要が出てきます。

2.短期的視点の重視──米国株・日本株をオーバーウェイト

従来、投資の世界では「長期視点」が重視されてきました。しかし、ブラックロックは現在の環境を「異例」と捉え、むしろ短期(6〜12か月)の見通しの方が明確で判断しやすいと述べています。

その背景には以下の要因があります:

  • 政策の即応性(関税発表の即時撤回など)
  • AIによる企業業績の底上げ
  • 日本のインフレ定着と企業改革の進展

これらを踏まえ、短期では以下のようなアセットを推奨:

  • 米国株:オーバーウェイト(AIブーム、収益性の高さ)
  • 日本株:オーバーウェイト( インフレ回帰とガバナンス改革が評価)
  • 米短期国債や米国MBSなど安全性と利回りのバランスが取れた債券も選好

3. 長期視点では「メガフォース」が新たな羅針盤に

ブラックロックは「メガフォース(構造的な変化)」を、今後の長期的な投資リターンの源泉として位置付けています。

代表的なメガフォース:

  • AI(人工知能):インフラ投資→アプリ導入→経済変革の3段階
  • エネルギー転換:再生エネ・電力網の強化
  • 地政学的分断:安全保障投資(防衛・インフラ)
  • 金融の未来:プライベートクレジットとインフラ資産の重要性

これらは一過性のテーマではなく、今後10年以上にわたって市場を牽引する大きな潮流として位置づけられています。

4. 米ドルと米国資産の未来──安泰だが、依存にはリスクも

ブラックロックは「今後2~3年、米ドルは依然として支配的地位にある」と見ています。ただし、中長期的には財政赤字や地政学リスクの蓄積により、ドルの“相対的な存在感”が低下する可能性にも言及しています。

その一方で、米国株式・米国資産の構造的な強さは変わらず、ポートフォリオの中核を担う存在として支持を維持しています:

  • 高ROE(自己資本利益率)
  • AIなど成長産業の中心地
  • 資本市場の深さと流動性

ドルがすぐに終わるわけじゃないけど、“過信”は禁物!

5.探偵パンダの考察

インフレ時代の日本で「投資」が“必須スキル”になる理由

2025年現在、日本は過去30年のデフレ時代とは明らかに異なる環境に突入しています。物価は上昇し続け、給与は横ばい、円の購買力は国際的に低下──私たちの「生活の土台」が静かに、しかし確実に変わってきています。

ブラックロックは、このようなインフレ環境下で、日本株を「オーバーウェイト(強気)」と評価しました。これは単なる楽観論ではなく、「日本という国がようやくインフレを受け入れ、資本市場の機能を取り戻しつつある」という冷静な視点に立った判断です。

たとえば、株主還元を重視する企業姿勢の変化、PBR1倍割れ企業への東証の要請、政策としての資産所得倍増プラン──こうした動きは、インフレと株式市場が結びつくことで、ようやく本格的に機能し始めたとも言えるでしょう。

しかし、これまで「貯金=安全」という価値観で生きてきた私たちにとって、資産が目減りする時代での行動変容は決して容易ではありません。

▼ではどうすればよいのか?

ブラックロックの提言は、私たち個人にも十分応用可能です。特に以下の点は、私自身も強く共感し、実践しています。

  • 円で生活する以上、円建て資産(特に日本株)を保有することの意義が高まっている
     → インフレ下では、日本株が「現金に代わる価値保存手段」として機能しうると考えています。
  • 為替リスクをどう捉えるか?
     → 一見すると、為替ヘッジなし=リスクと映るかもしれませんが、円高局面では“損失緩和バッファ”として働く構造を理解しておくことが重要です。
  • 投資は「守る」ための手段にもなり得る
     → 長期的にインフレが続く前提に立つなら、現金や預金だけで資産を守るのは限界があります。個人的には、S&P500やオルカンなどのインデックス投資と、日本株、金、インフラテーマへの分散を図ることで“防衛力のあるポートフォリオ”を構築することが重要となってきます。

結論:「貯金だけが正解」だった時代は、もう戻ってこない

かつての日本では、「給与所得+預金」が最も安定した資産形成の方法でした。しかし今や、働いて稼ぐだけでなく、“お金にも働いてもらう”発想がなければ、資産を維持することすら難しくなってきていると感じます。

ブラックロックが述べる「短期は米国株と日本株を軸に、長期はAIやインフラ、エネルギー転換に賭ける」という戦略は、個人投資家にとっても非常に現実的かつ実行可能な視点を提供してくれます。

今後の日本では、デフレ脳からインフレ脳への転換がますます重要になります。投資は「資産を増やす」だけでなく、「守る」ための手段でもあるのです。

※当ブログの内容は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。

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