『探偵パンダの相場推理ノート』#10

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『探偵パンダの相場推理ノート』とは?
市場の裏側に潜む“違和感”を出発点に、仮説と推理を交えて相場の本質に迫るシリーズ。
正解を語るのではなく、一緒に考える時間を大切にする読み物形式の記事です。


関税という“交渉カード”──トランプ流ディールが市場を揺らす

次は欧州との応酬か???

2025年5月。トランプ政権が突如、EU製品に最大50%の関税をかけると発表しました。
しかもその適用開始は、なんと6月1日──猶予はわずか数週間という強硬な内容です。

ところが数日後、「関税発動は7月9日まで延期する」との追加発表があり、市場には一時的に安堵の空気が流れました。

でも、私は思いました。

「またこのパターンか──」

そう感じたのは、きっと私だけではないはずです。


関税は“制裁”ではなく、“交渉ツール”になってきている

今回の動きを見て、改めて強く感じたのは、

「関税は報復措置ではなく、交渉を有利に進めるための“ツール”になっているのではないか」
ということです。

突然の発表は、おそらくEUとの交渉が思うように進んでいない証しでしょう。
そしてこれは、彼がこれまで何度も使ってきた“おなじみの手口”でもあります。

まずは相手が驚くような極端な要求をぶつけ、混乱させる。
その後、ほんの少し譲歩するだけで、「成果を得た」とアピールする。

米中との交渉でも同じパターンが繰り返されてきました。
そして今、その矛先がEUに向いているように見えるのです。


トランプ流“取引術”と、それに慣れすぎた市場

Liberation Dayからの急展開

まず、4月2日。
トランプ大統領は「Liberation Day(解放の日)」と称して、EU製品に30%の関税を課すと予告しました。

このときは90日の交渉期間が設定され、「静かな幕開け」と捉える向きもありました。

ところが5月末に入り、突然「50%関税」へと条件が引き上げられ、しかも6月1日から実施すると宣言。
その後の延期発表までの流れは、まさに怒涛の展開でした。

この一連の動きから読み取れるのは──
交渉が裏でうまくいっていないのでは?という疑念です。


目的は「脅し」ではなく「譲歩を引き出す」

このようなアプローチは、外交というよりもビジネス交渉に近い印象を受けます。

まず“恐怖”を見せておき、相手が何かを差し出さざるを得ない状況を作る。
たとえばアメリカ側は、「自動車関税25%+部品10%」という“相互税”案を提示し、EU側にプレッシャーをかけています。

そして、最終的に少し条件を緩めるだけで
「我々は妥協した」とアピールできる──それが、トランプ流の交渉術です。


探偵パンダの視点:「これは交渉というより、もはや脅しだと思う」

正直なところ、今回の米EU貿易交渉を見ていて私が感じたのは、
「交渉というより、脅しのようだ」という印象です。

アメリカ側は一貫して、「良い提案を持ってこなければ50%関税を課す」という姿勢を崩していません。
“交渉の時間を設けている”という体裁は保っているものの、実質的には圧力でしかないのです。

交渉が進んでいるようには見えず、成果もほとんど見えてこない。
延期されたとはいえ、それが前向きな合意への一歩ではなく、ただの時間稼ぎに過ぎないとすれば──

これは、交渉テーブルの「揺れ」そのものなのではないでしょうか。


関税は“政策”ではなく“操作ツール”になっている

本来、関税は国内産業を守ったり、貿易のバランスを整えるための政策手段であるべきです。
しかし現在は、「駆け引きの武器」として扱われているのが現実です。

そして、その“武器”が振るわれるたびに、相場も交渉も不安定に揺れ動きます。

その場しのぎの効果はあっても、長期的に見れば、信頼や通商秩序の崩壊につながるリスクもあるのではないでしょうか。


冷静な交渉のはずが、誰かの演出になっていないか?

「交渉」と「脅し」の違いは、相手との対話の余地があるかどうか──
私はそう考えています。

今回のやり取りを振り返ると、その境界が曖昧になってきているように思えてなりません。

市場は、ある程度このやり方に“慣れて”きている。
でもそれは、本当の意味での「安心」ではありません。

むしろ油断が生まれたときこそ、次の“想定外”が襲ってくるかもしれない。
そう感じるのです。


あなたは今回の「延期」をどう読みますか?
トランプ流の交渉劇、次の一手に備えていますか?

※この記事は、探偵パンダによる“ひとつの仮説”にすぎません。
正解は誰にもわかりません。一緒に「考える」時間を楽しんでいただければ嬉しいです。

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