連載:『投資で一番大切な20の教え ~賢い投資家になるための隠れた常識~』を深く読む
本記事では、ハワード・マークス氏の名著
『投資で一番大切な20の教え』を章ごとに紐解き、
私の投資スタイルと照らし合わせながら、
実践的な行動指針を導くことを目的としています。
第11章では、マーケットにおける「現在地を把握する力」の重要性が説かれています。
投資における最も重要な問いの一つ。
それは「今、自分はどこにいるのか?」です。
地図があっても現在地がわからなければ目的地にたどり着けないように、
マーケットの状況や投資サイクルの中で“今がどのフェーズか”を感じ取る力”が、
判断の質を大きく左右します。
書籍の解説:マーケットの“現在地”を見極める目を持つ

サイクルを前提とする思考
ハワード・マークス氏は、株式市場を「循環する存在」と見なしています。
強気→加熱→調整→弱気→回復というサイクルの流れの中で、
いま市場がどのあたりに位置しているかを意識することで、
過剰な楽観や過度な悲観を避ける判断軸が生まれるのです。
「現在地」は予測ではなく観察
重要なのは、“未来を当てる”ことではありません。
大切なのは「今、何が起きているかを多面的に見る力」。
- 株価の水準(PERやPBRなど)
- 景気指標(失業率・GDP成長率)
- 投資家の心理(Fear & Greed Indexなど)
- 市場の金利・流動性環境
これらを複合的に捉えれば、「今が加熱気味か、過度に悲観か」などの
市場の温度感がつかめてきます。
探偵パンダの実践:3つの「現在地」確認ステップ

① 感情の“逆張りチェック”を習慣に
投資判断の前に、まずは「今、自分はどんな感情を抱いているか?」を確認します。
- もし「乗り遅れたくない!」と感じているなら → 市場は楽観的すぎるかも?
- もし「もう怖くて何もできない」と感じているなら → 悲観が行きすぎてる可能性も?
これは「自分の感情=市場の現在地を映す鏡」として活用する方法です。
② 経済・市場指標で“ざっくり現在地”を把握する
私は以下のような指標を定点観測して、市場の位置を大まかに捉えています:
分類 | 指標 | 意味・活用法 |
---|---|---|
市場心理 | VIX指数 / Fear & Greed Index | 投資家の不安や楽観の水準を知る |
バリュエーション | PER(S&P500など) | 割高感・割安感の目安 |
マクロ経済 | 失業率・金利動向(米国中心) | 景気のサイクルを掴むヒントに |
金融環境 | 米国10年債利回り | 株式 vs 債券の資金流入の方向性 |
もちろん、完璧に当てる必要はありません。
あくまで自分の判断が過度になっていないかを見直すための参考材料として使っています。
③ 積立は“続ける”が大前提──そのうえでスポット買いにメリハリを
まず大事な前提として、積立投資を止めるのは悪手だと考えています。
時間分散の効果を捨ててしまうと、結局「いつ買うか」で迷いが再発してしまうからです。
したがって──
行動 | 基本スタンス |
---|---|
毎月の積立 | 相場環境にかかわらず淡々と継続 |
スポット買い | 相場の温度感に応じて“追加”でメリハリ |
📈 いまの米国株をどう見るか?

※データ出典:FactSet レポート(2025 年 4 月 17 日版)
観点 | 3 月 末 | 4 月 17 日 | 初心者向けポイント |
---|---|---|---|
指数価格 | 0%基準 | –10.3 % | 株価は約1割下落 |
12 か月先EPS(利益予想) | 0%基準 | –0.3 % | ほぼ横ばい=企業の稼ぐ力は崩れていない |
フォワードP/E | 20.2倍 | 19.0倍 | “株価の高さ”を表すメーターが1目盛ダウン |
価格だけが下がり、利益見通しはほぼ無傷
- 株価が10 %下げたのに、企業利益の予想は0.3 %しか下がっていない
→ “企業の実力”より“楽観が乗り過ぎていた株価”が調整されたといえます。
P/E 19倍は「ここ5年平均より少し安い、でも10年平均とほぼ同じ」
- 5年平均 19.9倍より低い → 行き過ぎた割高感がひとまず解消
- 10年平均 18.3倍よりはまだ高い → 割安と言い切るにはもう一段下げ余地も

- 「株価=会社の実力 × 市場の期待」
今回は“期待”の部分が下がって、バリュエーションが落ち着いた。 - “割高→適温”には近づいたが、“お買い得セール”とまでは言えない
- 今後は金利・景気指標を見ながら、さらに下がる余地があるか注視
🐼 探偵パンダのスタンス
- 積立は続行:ドルコスト平均法でブレずに買い続ける。
- スポット買いは慎重:
- もう一段調整(例:P/Eが18倍台前半 or 15 %下落)まで待つ想定。
まとめ
市場にはサイクルがある。「今どこにいるか」を感じ取ることが大切
感情の動きや経済指標を活用し、自分なりの現在地を把握する
次回予告
次回は第12章「運の影響力を認識する」。
成功・失敗に「実力」と「運」がどう絡んでくるのか?
投資家が謙虚であるべき理由と、再現性のある判断とは何かを探っていきます。
※当ブログの内容は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。
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